「夜長の候」の意味と使い方!時期はいつからいつまでなの?

秋の夜長

時候の挨拶に「夜長の候」という言葉があります。

秋の夜長に~という言葉をよく見聞きするので実際に使ったことがある人もたくさんいるかもしれません。ですがいつ使う言葉なのか、そしてどんな意味合いがあるのかも気になりますね。

そこで「夜長の候」の意味と使い方、そして使う時期はいつからいつまでなのか詳しく解説したいと思います。

「夜長の候」の意味は?

まずはじめに「夜長の候」の意味を見ていきましょう。

四季折々、さまざまな表現のバリエーションに富んだ日本語の季語や時候のあいさつ用語のうち、今回は「夜長の候」をご紹介したいと思います。

「夜長の候」という語句は「夜長」という名詞と「候」という名詞が接続した形になっています。

それぞれの言葉を紐解いていきましょう。

「夜長」の「夜」という漢字は、会意兼形声文字で、元来は「人の脇の下に点を加えた形と、月」を示す字だったとされます。

立っている人の脇の下に月が添えてあるような象形で、これは「月が脇の下より低く落ちた」ことを示したそうです。

すなわちそこから「暗い夜、夜中」を表す字となったとされます。

一方「長」という漢字は象形文字であり、元来は「長い髪の人」を横から見た形を示していたとされます。

ここから「長い」、つまり「端から端まで、あるいはある時点までの間隔が大きい」といった意味を示すようになりました。

物理的な距離や時間を言い表します。

このように「夜長」は、文字通りに「夜が長い」ことを表す言葉です。

「昼に比べて夜が長く感じられること」、とりわけ「秋が深まって、夜が一段と長く思われること」といった、人の感覚的な印象を示すものだともいえます。

そして「候」とは、本来は一年を五日間程度に細かく分けたその一つの期間を示しましたが、現在では「~の時期、~の季節」といったように、漠然と前の名詞が示す期間を形容する定型的な表現になっています。

「夜長の候」の読み方は、一般には「よながのこう」というのが自然です。

ただ漢文調でそろえる語調を重視する場合は、類語である「長夜」を用いて「長夜の候」とし、「ちょうやのこう」と読む場合もあります。
 

「夜長の候」の使い方は?

次に「夜長の候」の使い方と例文をご紹介します。

「夜長の候」とは以上のように、秋が深まった季節に使われる時候の挨拶用語だといえます。

「秋の夜長」といった別の言葉もあるように、昼間の方が長かった夏が終わり、秋から次第に冬の足音が聞こえる時期になってくると、日の出は遅く、また日の入りは早くなり、夜の長さがしみじみと実感されるものです。

こうした季節を言い表す一つの言葉が、「夜長の候」です。

「夜長の候」は古語にもみえる由緒ある言葉でもあり、例えば江戸期の俳人松尾芭蕉の句にも「山鳥の枝踏みかゆる夜長かな」といったように用いられています。

現代のビジネスシーンや儀礼の場では、主に書面での冒頭あいさつの中で、晩秋が近づいたことを表す言い方として用いられます。

例文

「夜長の候」の例文としては、次のようなものが挙げられます。

  • 拝啓 夜長の候、日増しに秋も深まってまいりましたが、皆様にはますますご健勝のことと存じます。
  • 夜長の候、日ごとに秋冷が加わる朝晩となってきました。お風邪など召されませんよう、どうぞご自愛くださいませ。

「夜長の候」の時期はいつからいつまで?

最後に「夜長の候」を使う時期はいつからいつまでなのかご紹介します。

「夜長の候」という時候のあいさつ用語は、前述のように「最近は随分と秋が深まったのか、すっかり夜が長くなったと感じる日々ですね」といったニュアンスを示す言い方です。

天文学的には、「夏至」を過ぎると昼間の時間が一年で最も長かったピーク期が終わり、徐々に夜が長くなり始めます。

そして昼夜がまったく同じになる九月二十三日ごろの「秋分」を境に、昼間より夜の方が時間が多くなります。

そして十二月二十三日ごろの「冬至」には、夜の長さが一年で最も長いピークに達するわけです。

このことからすると、「夜長の候」は秋分を過ぎたあたりから用いるのが、「夜が長くなったなあ」という人々の実感に近く、適切だといえます。

この言葉は十月を中心に用いることができ、終わりは十一月初旬ごろまでとするのがふさわしいでしょう。

というのも、十一月七日ごろには暦の上での冬である「立冬」が到来しますので、これを過ぎると「秋の深まり」といった表現は当てはまらなくなるためです。

また九月初めなど、まだ暑さも残り「初秋」とされる時期にも、使うのはあまり適切ではありません。

まとめ

どうでしたでしょうか。

「夜長の候」の意味と使い方、そして使う時期はいつからいつまでなのか詳しくご紹介しました。

今回の「夜長の候」については他の時候の挨拶よりも分かりやすかったんじゃないでしょうか。

それは「夜長」という言葉に馴染みがあるからだと思いますが、使う時期や期間は最低限注意した方が良さそうですね。