「秋雨の候」の時期はいつまで?意味と読み方・使い方・例文も!
「秋雨の候」という時候の挨拶を見聞きしたことはありますか?
「秋雨」という言葉はよく見聞きすると思いますが「~候」が付くことでどんな意味合いを持った挨拶になるのでしょうか。大変、気になりますよね。
そこで「秋雨の候」を使う時期はいつからいつまでなのか、意味と読み方、そして使い方、例文を詳しく解説したいと思います。
「秋雨の候」の時期はいつからいつまで?
今回ご紹介する時候のあいさつ用語は「秋雨の候」です。
漢字だけを見ると、非常に普段から馴染み深い文字ですが、どんな意味合いがあるのかや、使うのに適切な時期などについて詳しく解説していきます。
まず「秋雨の候」はいつからいつまで使える言葉なのでしょうか。
「秋雨の候」は読んで字のごとく、「秋」という漢字が含まれていますので、季節としてはまず秋のことを言い表していることは一目瞭然です。
ただ、一口に秋といっても、暦の上でや、季語・時候の言葉の世界では、細かく時期が分かれています。大きく秋は「初秋」、「仲秋」、「晩秋」の三つの時期に分けるのが一般的です。
これはそれぞれがおおむね一カ月ごとの期間を示しており、現在の太陽暦に照らすと初秋=九月、仲秋=十月、晩秋=十一月と考えて差し支えないでしょう。
このうち「秋雨の候」は、主として「仲秋」に当たるとされています。
旧暦では八月を示すのが仲秋ですが、新暦・旧暦とも、いわゆる「秋分」を含む一か月ほど、というのが仲秋の条件だともされています。
秋分とは二十四節気の一つで、天球での太陽の見かけ上の通り道の経度、つまり「黄経」が百八十度に達した日(現代の太陽暦では九月二十三日ごろ)に始まり、寒露(十月初旬)の前日までの十五日間を指すものです。
ただ現代では「秋分の日」として、その初日だけを意味するのが通例です。
このように「秋雨の候」という時候の言葉は、秋分である九月下旬を挟み、九月中旬から十月初旬ごろまでに使うのが、最も適切な期間だと考えられます。
「秋雨の候」の意味と読み方は?
次に「秋雨の候」の意味と読み方をご紹介します。
「秋雨の候」の「秋雨」とは、文字通り「秋に降る雨」といった意味を示します。
秋という季節は、うだるような夏の暑さもやわらぎ、さわやかな風や夕暮れの長い日差し、豊かな作物の実りと収穫といったイメージが一般的ですが、一方で「幾日もしとしとと長雨が続く」という日々も、よく見られるものです。
類語としては「秋霖(しゅうりん)」や「すすき梅雨」といった、いかにも日本語らしい趣ある言い方もされます。
この「秋雨」とは、気象用語としては「秋雨前線」といった言葉があるように、一般には八月後半から十月ごろにかけて続く長雨のことを示します。
これは、夏には優勢だった太平洋高気圧が南に退き、大陸の冷たい空気が徐々に日本に下りてくることで、温度の違う大気のぶつかり合いによって不安定になることで発生するものです。
ただ梅雨と異なり、始まりや終わりがはっきりせず、また前線の停滞も数日程度で、長続きすることはないようです。
東南アジアから東アジアにかけて広範囲に起こる梅雨とは異なり、主に北、東日本に特有な現象であるところも、秋雨が時候の言葉として用いられる理由の一つかもしれません。
さて「秋雨の候」とは、漢語が並んだ言葉ととらえると、一般には「しゅううのこう」と読むのが自然です。
ただし「梅雨」が「つゆ」とも「ばいう」とも音訓両方で読まれるように、「秋雨」も「あきさめ」と和語で読んでも問題はないと考えられます。
特に前述のように、秋雨は日本特有の気象現象ですので、とりわけ時候の言葉としては訓読みでも差し支えないといえます。
「秋雨の候」の使い方は?
最後に「秋雨の候」の使い方と例文をまとめてご紹介します。
「秋雨の候」は以上のように、主に仲秋に当たる九月下旬を中心に、しとしとと長雨が続く気候のことを表す言い方だといえます。
実際の秋雨は八月から十月と比較的長い期間に定義されますが、時候のあいさつとしては秋分の前後に絞ることが適切でしょう。
そして十一月以降などになると冬支度の季節ともなりますので、使用は適当ではありません。
秋は台風シーズンでもありますが、台風のような激しい雨風の「嵐」は秋雨とは相容れないため、その場合は「野分の候」などが適切な言葉になります。
手紙などが相手に届くころの天候状況などを勘案して、言葉を選ぶことが大切だといえます。
例文
「秋雨の候」の例文としては、次のようなものが挙げられます。
- 秋雨の候、雨の合間の澄んだ空が美しい季節となりました。
- 秋雨の候、はっきりしない空模様とともに、朝夕の冷え込みも本格化して参ります。皆様にはくれぐれもご自愛ください。
まとめ
どうでしたでしょうか。
「秋雨の候」を使う時期はいつからいつまでなのか、意味と読み方、そして使い方、例文を詳しくご紹介しました。
私も今回、「秋雨の候」についていろいろ調べていたのですが、読み方についてはなるほど~と思いましたね。
普通なら「あきさめ」と読んでしまいそうですが、時候の挨拶の時は「しゅうう」と読むのに驚きました。
「あきさめ」と読んでも間違いではありませんが、「しゅうう」と表現した方が乙な人だなと思われそうですよね(笑)
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません