「履行(りこう)」の意味と使い方は?「遂行」との違いや使い分け方は?

辞書をめくる男性

みなさんは「履行(りこう)」という言葉を知っていますか?

よく聞く表現方法に「履行遅滞」や「履行勧告」などがあると思いますが、どんな場面でどんな意味合いのある言葉なのか気になりますよね。ニュースや新聞などでもよく見聞きするのでこの機会にしっかり覚えておきましょう。

そんな本日は「履行(りこう)」の意味と正しい使い方、そして「遂行(すいこう)」との違いや使い分け方について詳しく解説します。

「履行」の意味と正しい使い方は?

まずはじめに「履行」の意味と使い方を見ていきましょう。

「履行」という言葉は「りこう」と読み、通常は名詞のままか、「履行する」と助動詞を補って使用します。

「履」という漢字は、本来は「靴やはきものを足に付ける」、あるいは「足を地に下ろす」、「足を上げ下げして、踏んでいく」といった意味を示しました。

そこから転じて「ある決まったやり方に従って行う」という意味合いでも使用されるようになったようです。

また「履行」の「行」は象形文字で、「十字路の形」を示したとされます。

ここからから「道」や「行く」という意味合いが成立したようです。

これらの字の成り立ちから、「履行」は「決めたこと、言ったことなどを実際に行うこと」や「約束や契約などを実際に行うこと」を意味する言葉といえます。

とりわけ「履行」は、ビジネスシーンや現代社会の商行為などの場面では、法律的な用語としての使用が一般的だといえるかもしれません。

法律などの側面から定義付ければ、「履行」は「債務者が債務の内容である給付を実現すること」となります。

かなり難解な語意になりますが、債務とは「ある者(債務者)が相手方(債権者)に対し一定の行為(給付)をする義務」という意味です。

これもまた難解ですが、平易に言えば債務は「借りたお金などを返す義務」、債権は「貸したお金などを返してもらう権利」といった内容といえるでしょう。

このため「履行」は、平たく言えば「借金などを返す行為」となります。

同じ「借金返済」でも、「履行」は債権の効力に重きを置いた表現であり、似た表現の「弁済」は債権の消滅の面に重点を置いている違いがあります。

いずれも法的には厳密な使い分けや意義づけがある、ビジネスなどの契約関係では極めて重要な用語です。

「履行遅滞」の意味や使い方は?

次に「履行遅滞」の意味と使い方について説明します。

「履行」の熟語表現の一つに、「履行遅滞」という言葉があります。

これは民法の規定から由来する言葉で、契約行為における法的専門用語だといえます。

民法第四百十二条に「債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う」とあります。

つまり「履行遅滞」は「借金返済が遅れること」であり、いわゆる「債務不履行」の一つです。

専門的には「債務者が履行期に、債務の履行が可能であるのに履行しないこと」を表します。

「債務不履行」とは、「債務者が、正当な事由がないのに債務の本旨に従った履行をしないこと」を示します。

これはその程度によって「履行遅滞」、「履行不能」、「不完全履行」の三つに大別されます。

ビジネス用語では「デフォルト」とも表現されます。「○○社がついにデフォルトに陥った」といった用例です。

こうした「履行遅滞」のように、契約違反によって債務者が金銭の支払いを怠った場合には、債権者は債務者に対し、強制履行や契約解除、損害賠償の請求をすることができます。

身近な例を挙げてみましょう。

ある書籍を通信販売で購入した場合、お店側には該当の書籍を購入者に届ける「債務」と、金銭の請求をする「債権」が発生します。

これに対し、購入者は書籍の引き渡しを請求する「債権」と、金銭を支払う「債務」が発生するわけです。

この時、債務部分の不履行(購入者が代金を支払わない、店側が書籍の引き渡しを怠る)など、契約上の不備が起こることを「債務不履行」と呼び、支払いや書籍の送付が契約条文より遅れた場合には「履行遅滞」となるわけです。 

ただし履行遅滞は、法的には成立する条件があります。

そもそも債務者が履行可能であること、決められた履行期が過ぎていること、債務者の責めに帰すべき故意・過失などがあること、そして履行しないと違法になること、の4つです。

「遂行」との違いや使い分け方は?

最後に「履行」と「遂行」の違いと使い分けについて見ていきましょう。

「遂行」の意味と使い方

「履行」と似た言葉に「遂行」という語があります。

「遂行」の「遂」は会意、及び形声文字です。

しんにょうは「行く」との意味があり、つくりは「倒れた人」の形、すなわち「何かに従う」ことを示します。

このため「遂」は一定の道すじに従って事が運び「なしとげる」を意味する字となりました。

このように「遂行」とは、「物事をなしとげること」や「やりとおすこと」を意味します。

「執行」や「実行」とも類似していますが、「遂行」は「一定期間中に、最後まで物事を成し遂げる」というニュアンスがこもるようです。

これに対し、前述のように「履行」は、「ある約束や契約を文字通りに行うこと」という意味です。

特に法的には「債務を実現すること」となり、かなり限局的な専門表現だといえるでしょう。

この意味では、一般用語としては「約束」や「公約」を主語とする場合は「履行する」、「遂行する」の両方の言い方ができますが、「任務」や「業務」の場合は「履行する」は馴染まず、「遂行する」が用法としては適切だといえます。

まとめ

どうでしたでしょうか。

「履行(りこう)」の意味と正しい使い方、そして「遂行(すいこう)」との違いや使い分け方について詳しくご紹介しました。

今回は少し難しい内容になってしまいましたが、「履行」はいろいろな使い方があるので意味をしっかり覚えておくと良いでしょう。

「履行」と「遂行」の違いも理解できたと思うので、実生活で間違いなく使い分けることが出来ると思います。