「野分の候」の意味と使い方!使う時期はいつからいつまで?

秋のもみじ

みなさんは「野分の候」という時候の挨拶を見聞きしたことがありますか?

普段あまり「野分」という言葉を使う機会も少ないと思うのでどんな意味合いがありどんな場面で活用するのか分からないと思います。読み方はやぶん?で合ってるのかも気になりますよね!

そんな本日は「野分の候」の意味と使い方、そして使える時期はいつからいつまでなのか詳しく解説したいと思います。

「野分の候」の意味は?

今回はさまざまな季語、時候のあいさつ用語の中から、「野分の候」を取り上げたいと思います。

「野分の候」という時候の言葉について、詳しく意味を紐解いていきましょう。

まず読み方ですが「野分の候」という時候の挨拶は、「のわきのこう」と読むのが一般的です。

間違って「やぶん」と呼んでいた人もきっと居たことでしょう。

「野分」の「野」という漢字は、元々は「埜」という字だったとされます。

これは「区画された耕地」「土地の神を祭るために、柱状に固めた土」の形を示しています。

「埜」は元来は「広くてのびやかな里」や「郊外」を意味する字だといえます。

ここから今では「田畑」や「草などが生えている平らな土地」を一般に表します。

一方「分」は元来は「刀で物事を二つに切り分ける」ことを示しました。

ここから「野分」は、「野にある草や作物を、風が強く吹いて分ける」といった様子を意味しました。

源氏物語や江戸期の俳諧などにもみえる古い言葉でもあります。

「野分」はこのように、現代では台風に当たる言い方で、とりわけ農家の作物に被害を与える時期の暴風を指し示します。

具体的には、稲の開花時期に当たるものの、台風の襲来も多いため、毎年の農家の厄日とされている「二百十日」や「二百二十日」ごろに来る台風のことを指すとされます。

「二百十日」や「二百二十日」は、立春から数えてそれぞれ二百十日目、二百二十日目を示す言葉です。

これはカレンダー上で言えば「九月一日」「九月十一日」になります。

このことから「野分の候」とは、文字通りには「九月の初旬ごろ」を表す時候の言葉であり、「台風がしばしば来て作物を荒らすのが心配な、秋の季節になりました」といった意味を示す、定型的なあいさつ用語の一つだといえます。

「野分の候」の使い方は?

次に「野分の候」の使い方を見ていきましょう。

「野分の候」という時候のあいさつ用語は、前述したように厳密には「九月一日から十一日」の十日間ほどの期間に、手紙や儀礼的な文書などを交わす際に、前文の中で用いるのが適切な使い方だといえます。

ただし、現代では「地球温暖化」などの影響もあるのでしょうか、台風の被害は日本全国で九月初旬に限らず、主に夏から冬近くまで広がってきているのが実態です。

本来は「野分の候」は秋の季語であり、「野分」は秋から冬にかけて吹く暴風のことを意味しますので、「野分の候」を文書や口頭で用いる際は、できれば「九月初旬」、もしくは九月の一か月間を中心とした前後の数日程度と考えるのが適切だといえそうです。

例文

「野分の候」の例文としては、次のようなものが挙げられるでしょう。

  • 拝啓 古くは野分の候とも言われる季節となりました。今年は災害少ないことを祈る日々でございます。
  • 野分の候、暑さも落ち着き、秋色が目立つようになってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

「野分の候」の時期はいつからいつまで?

最後に「野分の候」を使う時期はいつからいつまでなのでしょうか。

「野分」とは、前述しましたが、現代で言う「台風」の別称です。

いわゆる台風とは、気象庁の定義によると、熱帯の海上で発生する低気圧である「熱帯低気圧」のうち、

  1. 北西太平洋または南シナ海に存在するもの
  2. 低気圧内の最大風速がおよそ秒速17メートル以上のもの

という二つの条件を満たす気象状況を指すそうです。

このため、日本列島に毎年やってくる熱帯低気圧や暴風雨は、おおむね「台風○号」と番号をつけて呼ばれています。

この気象庁の定義によれば、台風は季節には関係ないことになります。

確かに、春にいきなり「台風が発生した」とか、十二月も近くなったのに「台風が接近している」などといったニュースを、最近は耳にすることが多くなりました。

ただし季語や時候あいさつの世界では、「野分」や「台風」という言葉にはきちんと時期があります。

「野分」は秋の季語であり、また秋の暴風雨は農家にとっては、作物に大きな被害を与える忌むべきものでもあります。

とりわけ収穫期の秋の台風は大変困った災害で、昔から農家には厄日として恐れられました。

このことから「野分の候」とは、現代の暦でいうと、秋に台風襲来が多いとされる、おおむね「九月一日から十一日ごろ」を指すと考えられます。

ただ九月いっぱいくらいまで、幅広く時期をとらえてもよいとする考え方もあるようです。 

まとめ

どうでしたでしょうか。

「野分の候」の意味と使い方、そして使える時期はいつからいつまでなのか詳しくご紹介しました。

まさか「野分」という言葉が「台風」の別称だとは思いもしませんでしたね。

読み方も「やぶん」ではなく「のわけ」と読むので使う場合は読み方と使う期間に注意して活用しましょう。